第73章

夜。三人家族の食卓には、あたたかな灯りと、湯気の立つ夕飯の匂いが満ちていた。

桑野夜子は、左右でおいしそうに頬張る二人の子どもを見て、満足げに目を細める。

「真弓、口、拭こうね」

夜子はティッシュを一枚取り、子猫みたいに口元を汚した真弓の口角についた食べかすを、そっと拭ってやった。

真弓はおとなしく顎を上げ、母の手に身を任せる。お腹が満ちた途端、ちいさな両腕をぱっと広げて夜子の胸に潜り込み、母の匂いを吸い込むようにして、ふぁ……とあくびをした。

「お母さん、真弓ねむい。ねんねしたい」

甘える声に、夜子は困ったように笑い、娘を抱き上げて鼻先をつんと指でつつく。

「食べたらすぐ寝て...

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