第8章

浅木辰也は、桑野夜子の反応がどこかおかしいと感じていた。直感が告げている。原因は、いま手にしているその薬瓶だと。

視線を落とし、ラベルの文字を確かめようとした、その瞬間。

横から鈴木真代がひょいと割り込んできた。

彼女は浅木辰也の腕に抱きつき、甘えるように唇を尖らせる。

「お化粧直し、付き合ってくれるって言ったのに。ちょっと外に出たら、もういないんだもん」

その隙を逃さず、桑野夜子がさっと一歩踏み込んだ。浅木辰也の手から薬瓶をひったくる。

あまりにも露骨な反応に、浅木辰也の違和感はむしろ深まった。

「そんなに慌てるのか」

低く問う。

「それ、何だ」

「え、えっと……」

...

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