第80章

浅木グループ社長室。

浅木辰也は、通話を切られたスマホを見つめたまま、きりりとした眉をわずかに寄せた。

――面白い女だ。

切り方があまりにも潔い。まるで、こちらが半秒でも遅れたらスマホの向こうから飛び出して腕を掴み、そのまま連れ去ってしまうとでも恐れているみたいに。

たかが広告一本だ。そこまで余地なく断る必要があるか?

……こっちが子どもの親権でも奪いに来たみたいじゃないか。

浅木辰也は唇を結び、顔色を沈めると、スマホをデスクへ放った。

そのタイミングで、コンコン、とノック。

扉が開き、秘書が入ってくる。

「浅木様、子役モデルのお母様とは連絡がつきましたか? 先方が資料を急...

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