第81章

「どうして?」

俊哉にはまだ、小さな頭では理解できなかった。どうしてパパが、お母さんを苦しめるのか。

パパとお母さんが愛し合っていないなら、どうして自分と真弓が生まれたんだろう。

浦原淳宏は電話越しに小さく息をつく。俊哉には見えないが、その目には一瞬、底知れない光が走った。

「俊哉。君のお母さんを傷つけたのは、君の実の父親だからだよ。血がつながってるだけの父親と、毎日そばにいてくれたお母さん。どっちを選ぶべきか、分かるよね?」

俊哉は小さな拳をぎゅっと握りしめた。整った幼い顔に、迷いのない決意が浮かぶ。

「お母さんを選ぶ」

会ったこともない父親なんて、苦労して育ててくれたお母さ...

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