第82章

「どこのガキよ! 汚っ!」

声の主は、ふわふわの羊毛パーマに整ったメイク。けれど頬に浮かぶ怒気は隠しきれていない。彼女は下を向き、憤然と真弓をにらみつけた。

真弓は転んでお尻がじんじん痛んだ。けれど自分が走り回っていたせいだと分かっている。すぐに小さな顔を上げて、ぺこりと頭を下げた。

「ごめんなさい、おばさん。わざとじゃないの。ぶつかっちゃった」

……おばさん?

私が、そんなに老けて見えるっていうの?

ちびっこが。口の利き方も知らないわけ?

「あなた――」

燃え上がっていた怒りが、女の喉元でひゅっと止まった。真弓の顔をはっきり見た瞬間、表情が硬直したのだ。

眉も目も鼻筋も。...

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