第85章

「そんなに綺麗にして。デートでも行くの?」

下津紗恵はドア枠にもたれかかり、セクシーなタイトスカート姿の桑野夜子を眺めながら、眉をふっと持ち上げた。

桑野夜子は長い髪を指で整え、振り返って彼女を見る。

「前に海外で知り合った友だちがね。私が帰国したって聞いて、ご飯に誘ってくれたの」

下津紗恵の目がぱっと輝く。

「男? 女?」

桑野夜子は、彼女が何を期待しているのか一瞬で察し、指で額をつんと突いて笑った。

「女の子」

下津紗恵は露骨にがっかりする。夜子に新しい恋でもできたのかと思ったのに。

その反応を気にする暇もなく、桑野夜子は腕時計をちらりと見た。

「今日はちょっと帰りが...

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