第9章

「浅木辰也、いったいどういうつもりなの? 意味がわかんない!」

下津紗恵は、桑野夜子が抱えている箱に目を落とすなり、眉を寄せて声を上げた。

紗恵だけじゃない。夜子自身も、どう受け取ればいいのか分からなかった。

浅木辰也があのネックレスを落としたのは、鈴木真代に渡すためだと思っていたからだ。

夜子は唇をきゅっと噛み、衝動のまま車のドアを押し開けた。辰也を探しに行こうと片脚を外へ出した、その瞬間――並んで出てくる二人の姿が視界に入って、動きが止まる。

少し先。絵になるほどお似合いの男女が、笑い合いながら何か話している。

男は紳士然と片手を上げ、女の頭を守るようにかばってから、親しげに...

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