第91章

慈善オークション当日、桑野夜子は盛装して会場に姿を現した。浦原淳宏の腕にそっと手を添え、車を降りたところで、ふと思い出したように尋ねる。

「ねえ、私たち今回、結局なにを落としに来たの?」

「宝石だよ」

浦原淳宏は胸元の蝶ネクタイを整え、淡々と説明した。

「祖母が生前ずっと身につけていたものなんだ。ここ何年かで人の手を転々として……今日の競りに出るって話を掴んだ」

祖母の遺品――その一言で、夜子は察した。

これは浦原祖父の心を引き寄せるためだ。あの人にとって、祖母は何より大切な存在なのだから。

夜子は眉をひそめる。

「情報、確かなの?」

「行ってみれば分かるさ」

淳宏はふっ...

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