第93章

慈善オークションが終わると、間を置かずに晩餐会が始まった。

浦原淳宏は会場を出てからというもの、ずっと顔色が冴えない。

桑野夜子はその横顔を見つめ、胸の奥に小さな不安が芽生える。結局、堪えきれずに声をかけた。

「……大丈夫ですか」

淳宏は振り向いた。白い照明に照らされた端正な顔立ちが、わずかに柔らいで見える。

彼は首を横に振り、表情を少しだけ緩めた。

「平気だ。電話してくる」

「はい」

夜子は頷き、彼の背中を見送る。けれど、落ち着かない。

うまくいかなかった。この件、浦原お爺さんの耳に入ったら――。

「奇跡だな。あいつが雛を守る親鳥みたいに、お前のそばに張りついてないなん...

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