第97章

朝早くから、斉藤志明は会社の中堅どころを引き連れ、正面玄関に陣取っていた。

若様お二人の辞令はあまりにも唐突だった。通知を受けた瞬間、背筋がひやりとした。たかが小さな支社だ。わざわざ若様が「修業」だの「現場経験」だのと称して降りてくるような場所じゃない。

胸の奥がざわつく。今回の異動は、そんな単純な話ではない――そんな予感がしてならなかった。

中堅たちも同じらしい。斉藤の周りに寄り集まり、ひそひそと探りを入れてくる。

「斉藤様、本社は一体どういうおつもりなんですか」

「副社長が来るだけでも胃が痛いのに、若様が二人って……」

「もしかして、何か掴んでて、帳簿を見に来たとか……?」

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