第99章

江下文子は胸の奥を強く揺さぶられ、桑野夜子に確かめたくなった。

彼女はそっと夜子のそばへにじり寄り、声を落として尋ねる。

「ねえ夜子。そういえばさ、私……二人の子のパパって、誰なのか聞いたことなかったかも」

禁句に触れたみたいに、桑野夜子の顔色がすっと変わった。江下文子を見る目に、わずかな警戒が混じる。

「……それ、聞いてどうするの」

「わ、私、ただ気になっただけで……」

江下文子は心の中でぶつぶつ言う。友だちの旦那に手を出すなんて論外。もし本当に何かあるなら、浅木辰也への気持ちもこれで完全に諦めがつく。

……にしても、ちょっとでも「いい男」って思う相手は、どうしてこう夜子と縁...

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