第5章

佑莉視点

 もう終わったことだと思っていた。

 小さなマンションに引っ越してから一ヶ月が経っていた。その丸一ヶ月の間、健二がドアの前に現れることも、電話をかけてくることもない静寂が続いた。私はようやく、息ができるようになった気がしていた。

 ヨガ教室での指導も再開した。そのルーティンは心地よく、予測可能で、私が何よりも求めていた「安全」を感じさせてくれた。早めに到着し、マットを敷き、照明を調整する。静かな音楽が流れる中、一時間かけて生徒たちにポーズを指導する。それは穏やかな仕事だった。結束バンドや血のこと、あるいは全ての責任を私に押し付けた時の健二の顔を思い出さずに済む時間だった。

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