第8章

佑莉視点

 轟音と共に、ドアが内側に吹き飛んだ。その衝撃で山小屋全体が激しく揺れる。

 健二だ。

 入り口に立つ彼の後ろから、サイレンの音が近づいてくるのが聞こえた。

 彼の視線が部屋をなめるように動く。左側には、にのパイプに手錠で繋がれた私。右側には、同じく手錠をかけられた環奈。私たちの間には炎が燃え広がり、床板を食い尽くし、壁を這い上がり、天井に向かってどす黒い煙を吐き出している。

 彼に残された時間はわずかだ。おそらく五秒。あるいはもっと短いかもしれない。

 私はその瞬間を、彼の瞳の中に見た。パニック、計算、そして誰を生かすかという残酷な天秤。

 選んで。

 時間がスロ...

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