第100章

沈村政志は、はっと目を見開いた。

鼻腔を刺す消毒液の匂いが、一気に押し寄せてくる。

彼は荒い息を、何度も何度も吐いた。

冷や汗が一瞬で病衣を濡らし、肌に張りつく。

沈村政志は天井を睨みつけた。

さっきのは――悪夢だ。きっと。

鈴宮若子が死ぬ夢を見た。

あの女が、担架の上で生気のないまま横たわっている夢を。

冷たく、息もなく。

鈴宮若子が死ぬはずがない。あいつはしぶとい。

あの大火事だって焼き殺せなかった。

それどころか、殺し屋に金を握らせて林原雨子を始末しようとした女だ。

あんな底意地の悪い、狡猾な女が。

石に頭をぶつけた程度で、あっさり死ぬわけがない。

沈村政志...

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