第101章

沈村政志は瓦礫の中に膝をついていた。

両手で、ほんのひとつまみの黒い灰を、壊れ物みたいに抱えている。

傍らには大村秀喜が立ち尽くし、焦りで顔を引きつらせていた。

意を決して一歩、近づく。

「沈村様……お手が怪我をされています。先に処置を……」

腕を取ろうと手を伸ばした、その瞬間。

沈村政志が身をひねり、しゃがれた声で吐き捨てた。

「どけ!」

「沈村様、人は……死んだら戻りません!」

「鈴宮さんはもう……。どうか、お気持ちを……」

お気持ちを。

沈村政志は俯き、掌の灰を睨みつけた。握り潰すように、指が震える。

唇がかすかに動く。

「鈴宮若子……誰が死ねって言った」

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