第103章

病院の特別個室。

消毒液の匂いが、部屋の隅々まで染みついている。

沈村政志はベッドにもたれ、顔色は紙みたいに白かった。冷凍倉庫から戻った直後、そのまま意識を失い、運び込まれたのだ。

ガチャリ、と病室のドアが押し開けられる。

林原雨子が、湯気の立つスープの椀を両手で抱えて入ってきた。今日は真っ白なワンピース。若々しく、無垢に見える装いだ。

雨子はベッドの脇まで来ると、サイドテーブルに椀を置いた。

「政志さん」

目尻が赤い。声には濃い泣き声が混じっていた。

「半日も外に出て……手の傷、また痛んだでしょう」

沈村政志は答えない。

ただ、雨子の顔をまっすぐ見据えた。

――女が金...

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