第105章

角山は顔面蒼白になり、転げるように階段を駆け下りた。

犬小屋の中では、沈村政志が黒ずんだ枯れ草の山に身を縮め、うずくまっている。

角山は鉄格子の外に膝をつき、どさりと頭を下げた。

「沈村さん! 大変です!」

「林原さんが手首を切って……血が、すごく……!」

沈村政志はぴくりとも動かない。

顔も上げない。

まるで何も聞こえていないかのようだった。

角山は焦りで太腿を叩き、声を裏返らせる。

「沈村さん、お願いです、見に行ってください!」

「このままじゃ林原さん、死んじゃいますよ!」

ようやく沈村政志が反応し、ゆっくりと首だけを回した。

表情は、木偶の坊みたいに虚ろだった。...

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