第108章

鈴宮若子は知らなかった。自分が「死んで」いたその間、真相など一度も確かめようとしなかった沈村政志が、唐突に動き出していたことを。

……

檻の前に、ふいに誰かの気配が差した。

林原雨子は弾かれたように駆け寄り、鉄格子に爪を立てる勢いでしがみつく。外を、血走った目で食い入るように見つめた。

沈村政志が、犬用の檻の前で足を止めた。

「政志さん……お願い。私、本当に……間違ってた。許して……!」

林原雨子は必死に縋りつく。

「お姉ちゃんの功績を横取りしたのも、全部……一瞬、魔が差しただけで……! お願い、見逃して……!」

沈村政志は見下ろした。

閉じ込められてまだ二日。それでも、目...

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