第115章

黒いマイバッハが、鈴宮若子の住まいの鉄門の前で止まった。

ドアが開くなり、沈村政志は車を降り、まっすぐ門へ向かう。

林原雨子は車椅子に座り、さっき着替えたばかりのワンピースを身にまとっていた。顔は洗ってある。だが三年にわたる人間扱いされない折檻が、彼女から生気を根こそぎ奪っていた。

人とも幽霊ともつかない――そんな有様。

門は固く閉ざされている。

二人のボディーガードが腕を伸ばし、沈村政志を制した。

「どけ!」

沈村政志はボディーガードを乱暴に押しのけ、そのまま中へ踏み込もうとする。

鈴宮若子がこの中に住んでいる。すでに突き止めていた。

ボディーガードは必死に食い止める。今...

ログインして続きを読む