第122章

銃身は、氷みたいに冷たかった。

鈴宮若子の手首を、沈村政志が力任せに握りつぶすように掴んでいる。指先が白くなるほどの力。銃口は沈村政志の左胸に押し当てられていた。

引き金を引けば――心臓は一瞬で撃ち抜ける。

沈村政志の顔色は死人みたいに青白く、口元だけが引きつった弧を描いていた。こいつは、死にたがっている。解放してやれるのは、鈴宮若子だけだとでも言いたげに。

若子は乱暴に手を引き抜いた。胃の奥がぐらりと揺れて、吐き気がこみ上げる。

銃が、からん、と床に落ちた。

「……近寄らないで」

若子は立ち上がり、ふらつきながら二歩下がる。テーブルの上のペーパータオルを掴み、触れられた指を必...

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