第15章

鈴宮若子が再び目を開くと、鼻の奥にあの馴染みの消毒液の匂いが満ちていた。

体の傷は包帯を巻き直されている。だが痛みはさっきよりも容赦なく、骨の芯まで噛みついてくる。

静かすぎる。胸の内側がざわついて、息が浅くなるほどに。

瞬きをした。――なのに、視界が真っ黒だった。

鈴宮若子は手を持ち上げ、目の前で振ってみる。けれど何も見えない。

最初は夜中なのだと思った。

だが、扉の外からは看護師がワゴンを押す車輪の音が聞こえ、申し送りをしているらしい声も混じってくる。

もう、とっくに朝だ。

鈴宮若子は固まった。次の瞬間、巨大な恐怖が全身を這い上がり、皮膚の下を氷みたいに冷やしていく。

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