第17章

鈴宮若子はよろめき、咄嗟に玄関の扉へ手を伸ばして、ようやく体を支えた。

沈村家の邸宅――一階ホールは燦々と明るい。膨らみきった笑い声が、波のように寄せては返す。

林原雨子は仕立てのいい深紅のドレスをまとい、客の輪を縫って歩いていた。花がほころぶみたいな笑みを絶やさない。

今日集まったのはH市の名士ばかり。その半分以上は、かつて鈴宮若子の親友で、友人だった人間たちだ。なぜなら今日は――彼女の誕生日。

二階の突き当たりの部屋。鈴宮若子はベッドの隅に身を縮め、視界には死んだような闇しかない。

そのとき、鍵が回る音がした。

足音が、一歩、また一歩と近づいてくる。

鈴宮若子は全身を強張ら...

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