第22章

沈村政志はくつりと笑い、鈴宮若子の血の気の引いた頬に指を添えた。指先が、頬に当てられたガーゼの上をゆっくりとなぞる。

「何を避けてる?」

男の声は妙にやわらかく、どこか甘ったるい親しささえにじんでいた。

その態度が、鈴宮若子にはたまらなく不気味だった。ぞわりと頭皮が粟立ち、胃の奥がむかむかとひっくり返る。

昨日までは豪雨の中で車椅子を押させていたくせに、今日はここで情があるふりをする。救いようのない狂人だ。

「今日はH市商工会のチャリティー晩餐会がある」

指先が顎へと滑り、沈村政志はそこをぐっとつかんだ。

「おまえも来い」

鈴宮若子は呆然とした。

自分が、彼に付き添って行く...

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