第23章

沈村政志は林原雨子を抱きかかえたまま水面を突き破り、岸へと大股で駆け上がった。

雨子は全身ずぶ濡れで、ドレスが肌に張りついている。寒さでがたがたと震え、政志の胸に顔を埋めるようにして激しく咳き込み、何度も水を吐いた。

「政志さん、げほっ……」

雨子は政志のシャツの前合わせを必死に掴む。指先が白くなるほどの力だ。

政志は彼女をデッキチェアに寝かせ、脇にあったバスタオルを引っ掴んでぐるりと包み込んだ。

「医者! 医療班はどこへ消えた!」

群衆へ向けて怒号を飛ばす。

救急箱を提げた医師たちが転げるように駆け寄り、雨子を囲んで状態を確認しはじめた。

だが雨子は医師の手を払いのけ、逆に...

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