第29章

彼は首をめぐらせ、デスクのパソコン画面を見た。さっき見たばかりの映像が、脳裏でしつこく反芻される。

鈴宮若子の、空っぽで焦点の合わない瞳。絶望の端でこぼれ落ちた涙。

沈村政志は急に胸が詰まり、息苦しさがこみ上げてきた。苛立ちが波のように押し寄せ、頭の奥までざわつく。

彼は横のローテーブルを一蹴りでひっくり返した。

ガシャン、とガラスが床一面に散った。

「演技だ。全部、演技だ」

あの嘘ばかりの女に、二度と騙されるものか。

絶対に。

深夜。H市私立病院、最上階。

廊下の照明は薄暗く、足音さえ吸い込まれていく。

エディソンは白衣をまとい、外の護衛の目を避けて病室の扉を押し開けた...

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