第39章

彼女が仮病を使ったのは、鈴宮若子をいたぶるためだ。ほかの人間の腎臓に替えたら、あの芝居は全部ムダになる。

そもそも林原雨子は病気なんかじゃない。本当に移植なんてされたら、健康な体をわざわざ切り開かれることになる。そんなの、殺されるのと同じだ。

「政志さん!」

林原雨子は焦って沈村政志の袖をつかんだ。

「もういいです! ほかの人の腎臓じゃ、拒絶反応が出るかもしれないし……私、もう疲れました。先生も言ってました。私、もう長くないって。だから、静かに逝かせてください」

「金がある。探せない腎臓なんてない」

沈村政志は逆に彼女の手の甲を押さえつける。

「おまえは俺の命の恩人だ。死なせる...

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