第43章

沈村家の別邸――その客室の扉は、固く閉ざされていた。

丸ひと月。鈴宮若子は一度も、その部屋から外へ出ていない。

一流の医療チームに、金に糸目をつけない薬剤。叩き込まれるように手当てを受けた結果、彼女の傷は奇跡みたいに塞がっていた。

鈴宮若子はベッドの縁に腰を下ろし、身体に巻かれていた包帯をほどく。

新しく生えた皮膚は淡い桃色で、裂けた傷は特効薬のおかげか盛り上がった痕にならず、まだらに残る青紫だけが点々と広がっている。

頬にも少し肉が戻った。あの弱々しく骨ばった印象は薄れている。

ベッドサイドのチェストに手をつき、鈴宮若子はゆっくり立ち上がった。

床に足を下ろした瞬間、足首の奥...

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