第48章

マイバッハが山道を猛然と駆け上がる。タイヤが路面を削り、耳を裂くような金切り音が尾を引いた。

車内は底なしの静けさ。沈村政志の荒く、切れ切れの呼吸だけが重く響く。

鈴宮若子は後部座席にぐったりと崩れ、上から外套を雑にかぶせられている。生気というものが、どこにも見当たらなかった。

車は別荘の前で急制動をかけ、がくんと止まる。

沈村政志はドアを乱暴に押し開けると、大股で後部座席へ回り込み、鈴宮若子の腕をつかんでそのまま引きずり下ろした。

足腰がふにゃりと崩れ、立つことすらできない。膝が石畳に叩きつけられ、鈍い衝撃が走る。

沈村政志は一瞥すらくれない。手首をつかんだまま、玄関へ――いや...

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