第50章

消毒液は一瞬にして、黒い毒虫どもを呑み込んだ。

薬液に刺激された毒蛇と蠍は、水の中で狂ったようにのたうち回り、大きな水しぶきを上げる。

鈴宮若子は四肢に力が入らず、逃げ場などどこにもなかった。

水流に乗って、手のひらの半分ほどもある黒い蠍が一匹、彼女の肩へ這い上がる。

鋭い鋏が、鞭で裂けた生身を容赦なく挟み込んだ。

鈴宮若子の全身がびくんと激しく震え、喉の奥から掠れた声が漏れる。

蠍の尾が高々と反り上がった。

毒針が、傷の奥深くへ容赦なく突き刺さる。

激痛が弾けた。

消毒液の中で怯え、狂乱した毒蛇たちも、毒牙の並んだ口を大きく開き、でたらめに噛みつき始める。

鋭い牙が鈴宮...

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