第56章

半月後。

鈴宮若子の怪我は幾分よくなり、退院して自宅療養に入ることになった。

左右からボディガードに抱えられるようにして、半ば押し込まれる形でマイバッハの後部座席へ。右脚にはギプスが巻かれ、座席の上に高く持ち上げられている。手首には包帯。少し引っ張られるだけで、芯まで貫くような痛みが走った。

車は荒々しく加速し、そのまま沈村家の別荘へ直行した。

鉄の門扉が左右に滑って開き、タイヤが減速帯を擦って嫌な音を立てる。ドアが開いた。

使用人たちが頭を下げて階段の下に並び、前へ出て鈴宮若子を支える。

鈴宮若子は何も言わず、佐藤の肩を借りて段を上がった。

二階の書斎は、カーテンが隙間なく閉...

ログインして続きを読む