第58章

静まり返った部屋に、ぎり、と嫌な摩擦音が走った。

ガラス片は鋭い。石膏の表面に、たちまち深い溝が刻まれていく。

鈴宮若子は割れ目に両手を突っ込み、歯を食いしばって左右へこじ開けた。

引っ張られた骨が軋み、痛みが全身の痙攣となって襲う。冷汗が一瞬で背中を濡らした。

唇を噛み切るほど噛み、叫び声だけは喉の奥に押し殺す。

――パキン。

ついに石膏が割れた。

鈴宮若子は右脚を引き抜く。

脚はパンパンに腫れ上がり、足首は紫に染まって、形そのものが崩れていた。

ほんの少し床に触れるだけで、目の奥が白くなるほどの激痛が突き抜ける。

それでも、拘束が外れただけで動きやすさは段違いだった。...

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