第63章

夜が明けると、通りを走る車の数もじわじわと増えていった。

路肩に清掃車が停まり、公衆電話ボックスの扉が、作業員の手で乱暴に引き開けられる。

中の光景を見た瞬間、作業員はぎょっとして二歩、後ずさった。

手にしていた箒が、からん、と地面に落ちる。

鈴宮若子は、はっと目を覚ました。

反射的に身を引き、左手がポケットの中を乱雑に探る。ガラス片。握りしめながら、相手を警戒して睨みつけた。

作業員は若子の顔をよく見て、息をのむ。

泥で汚れた顔。ぼろぼろの服。右脚は腫れ上がり、見ているだけで痛みが伝わってくるほどだった。

作業員は誰かを呼ぶでもなく、くるりと背を向けて清掃車へ行き、ビニール...

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