第67章

鈴宮若子の右脚がコンクリートにぶつかり、痛みに冷や汗が噴き出した。

沈村政志は彼女の生き死になど意にも介さず、襟元をつかむと、そのまま別荘の中へ引きずっていく。

右脚は床をずるずると擦られ、赤黒い血の筋が一本、あとを引いた。

屋敷の使用人と警備の男たちは廊下の両側に並び、そろって俯いたまま。誰ひとり、声を上げられない。

「沈村政志! 離して!」

鈴宮若子は必死に暴れ、左手で沈村政志の手首をめちゃくちゃに掴みにいく。

爪が手の甲を裂き、いくつも血の線を刻んだ。

それでも沈村政志は眉ひとつ動かさない。歩みを止めず、彼女を二階へ引きずり上げる。

廊下の突き当たりの寝室まで。

扉は...

ログインして続きを読む