第74章

ディーラーの手が、わずかに震えていた。

新品のトランプを開封し、シャッフルを始める。

紙の束が空を舞い、さらさらと乾いた音を立てた。

ホールの連中がいっせいに押し寄せ、賭け台の周りは内も外も人の壁で埋まる。

何百もの視線。その半分は卓上のカードに、もう半分は鉄格子の檻に閉じ込められた鈴宮若子に注がれていた。

鈴宮若子は檻の縁にもたれ、右脚の鋭い痛みが波のようにぶり返すたび、下唇を噛みしめた。舌に広がる鉄の味。

目を閉じる。周囲の卑しい囁き声を、ひとつずつ頭の中から削ぎ落としていく。

ディーラーが二人の前にカードを配った。

デブは両手でカードを押さえつけ、手の甲に青筋を浮かせる...

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