第75章

沈村政志の声には、容赦の欠片もなかった。

インカムの向こうが二秒ほど沈黙し、「了解」とだけ返ってくる。

沈村政志は椅子の背にもたれ、脚を組んだ。

――あいつの最後の一本を叩き折ったら、それでもまだ死んだふりができるのか。見ものだ。

午前二時。

カチャリ、と鍵の回る音。

鈴宮若子はまだ眠れていなかった。

ベッドの足元にもたれ、鈴宮辰也を見つめる姿勢のまま、身じろぎもしない。

そのとき、扉が押し開けられた。

私服の男が四人、ぞろぞろと入ってくる。

先頭はスキンヘッド。首筋に目立つ刺青、口の中ではガムをくちゃくちゃ嚙んでいた。

若子の眼球が、ゆっくりと彼らを追う。

声は出さ...

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