第77章

 そう言い終えるや、沈村政志は腰を折り、手を伸ばして鈴宮若子の顎を容赦なく掴み上げた。

 その双眸は真っ直ぐに若子の瞳を射抜き、声はみるみる冷え切っていく。

「言っておく。お前が見てるのは夢だ」

「鈴宮辰也はここに置く」

「俺はあいつを毎日、生き地獄に落としてやる。そうすりゃ、お前は俺の手のひらから逃げられない」

「少しでも逆らってみろ。すぐに刻んで犬に食わせる」

 顎を固定され、沈村政志の視線を受け止めた瞬間、若子の全身は勝手に震えだした。

 地獄から這い出た悪魔を見たみたいに、目の中に残ったのは恐怖だけ。

 若子は絶望のまま口を開いた。許しを乞おうとして――声が出ない。

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