第78章

沈村政志は、面目を失った彼女の顔を睨みつけた。胸の奥の火が、じりじりと勢いを増していく。

手に込める力が強まる。骨がずれる、嫌な音が喉の奥まで響いた。

「元に戻れ」

沈村政志は一語一語、鈴宮若子の顔面に叩きつけるように言った。

鈴宮若子は、ぽかんと固まった。

酸素が足りない。思考が、鈍く、遅い。

――元?

どの、元?

鈴宮家が潰れる前、見下ろす側にいた鈴宮家のお嬢様としての自分?

それとも、彼に脚を折られる前、当たり前に歩けていた自分?

若子の表情は、あまりに茫然としていた。

その茫然さが、沈村政志には――剥き出しの挑発に見えた。

忘れた?

この女、忘れやがったのか...

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