第8章

そのとき、林原雨子の目の奥に、ふっと計算高い光がよぎった。

鈴宮若子の手首をきつくつかんでいた手が、不意にするりと離れる。

「政志さん!」

林原雨子は甲高い悲鳴を上げた。

「お姉ちゃん、さっき急におかしくなったんです! 私に骨髄提供なんてしたくないからって、無理やり毒を打って自殺しようとしたんです!」

鈴宮若子は奥歯を食いしばり、林原雨子をにらみつけた。

「嘘よ!」

そのまま沈村政志へ顔を向ける。

「沈村政志、私を殺そうとしたのはこの女よ! その薬だって、この女が持ち込んだの!」

沈村政志は無言で歩み寄ると、鈴宮若子の襟元を乱暴につかみ、林原雨子の上から力ずくで引きはがした...

ログインして続きを読む