第81章

「忠告しておく。逃げようなんて思うなよ。さもないと――おまえの弟の死体、犬の腹の中から探す羽目になるぞ」

鈴宮若子の笑みが、ぴしりと固まった。表情はわずかに引きつる。それでも何も言わず、ぎこちなく小さくうなずくだけだった。

大人しくなったのを見届けると、沈村政志は振り返りもせず、宴会場の奥へと歩いていく。

林原雨子は慌ててスカートの裾をつまみ上げ、後を追った。立ち去る直前、彼女は振り返り、鈴宮若子をきつく睨みつけるのも忘れない。

鈴宮若子はその場に立ち尽くした。

沈村政志の支えがなくなった途端、右脚の折れた箇所から鋭い痛みが突き上げる。

彼女は傍のテーブルに手をつき、ゆっくりとハ...

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