第83章

鈴宮若子は、脚の傷口に目もくれなかった。

静かに沈村政志を見つめ、かすれた声で問いかける。

「……これ、沈村様の望みだったんじゃないの?」

声は小さい。けれど、喉の奥が擦れたようにざらついている。

「こんな格好にして、ここへ連れてきて……」

「みんなに見せたかったんでしょ。鈴宮若子は、誰にでも踏みつけられる女だって」

「大崎信孝に、みんなの前で辱めさせて……尻尾を振って媚びるところを見たかったんでしょ」

若子は顎を上げ、沈村政志をまっすぐに見返した。

「沈村様が喜ぶなら、もっと大きな声で笑ってあげる」

「……沈村政志。あなたの勝ち」

「私、もう尊厳なんていらない。面子もい...

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