第87章

ドローンが異常な物音を検知し、鈴宮若子が倒れた場所へ向かって飛来していた。

機械音が瞬時に、若子の周囲に群がっていた生き物たちをざわつかせる。

野犬は数度けたたましく吠えると、尻尾を巻いて逃げた。毒蛇も音もなく灌木の中へ滑り込む。

当の鈴宮若子は、すでに完全に意識を失っていた。指一本、ぴくりとも動かない。

インターコンチネンタルホテル、最上階のスイート。

部屋全体の空気が、底冷えするほど重かった。

アシスタントがドアを開けて入り、沈村政志に報告する。

「沈村様、鈴宮さんを見つけました」

沈村政志は酒杯を握る指に力を込めた。振り返りもしない。声は氷のように冷たい。

「……自分...

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