第90章

用心棒が医者の膝裏を容赦なく蹴り上げ、もう一度床へ押さえつけた。

沈村政志は運転席のドアまで歩み寄り、ガチャリと開ける。

見下ろす先には、地面に転がる医者。その視線を一度だけ、車の後方――鈴宮若子へと流した。

「このクズは原生林に放り込まれても死にゃしねえ。こんなの、どうってことねえだろ」

沈村政志は冷え切った声で吐き捨てる。瞳の奥に、凍りつくような殺気。

「俺はただ、このクズに「躾」をしてやるだけだ」

言い終えると、彼は運転席へ滑り込み、ドアを叩きつけるように閉めた。

鈴宮若子は車の後部、マフラーの真下にうつ伏せにされていた。

腕はロープでまっすぐ引き伸ばされ、その先はSU...

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