第94章

江原白矢は襟首をつかまれても、顔色ひとつ変えなかった。

抵抗もせず、沈村政志の手を一瞥しただけで、淡々と告げる。

「沈村様、手を離してください」

沈村政志の目は血走り、手の甲には青筋が浮き上がっていた。

次の瞬間、乱暴に力を込め、江原白矢を壁へ叩きつける。

「俺がどれだけ金を払ってお前を呼んだと思ってんだ。毎日入って、あいつが半死半生で寝てるのを眺めさせるためじゃねぇ!」

「治せるのか、治せねぇのか! 治せねぇなら替える!」

江原白矢は眉をわずかに寄せた。

片手を上げ、沈村政志の指を一本ずつ強引にこじ開ける。乱れた襟元を整え、静かな声で言った。

「沈村様。鈴宮さんは全身の七...

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