第6章

「そう緊張しなくていい。ほんの少し、強力な鎮静剤と睡眠薬が入っていただけだ」

 私はイーゼルの脇から、あらかじめ用意しておいた太い麻縄を何気なく手に取る。その口調はまるで絵の具の配合について語るかのように平坦だった。

「不眠症に対抗するために、私が常食している『キャンディ』だよ。私にはもう耐性がついているが、君には少々、効き目が強すぎたかもしれないな」

「あんた……一体、何を……」

 三沢隼人はテーブルに手をついて立ち上がろうとする。だが、薬物は彼にその猶予を与えなかった。膝が崩れ、彼はその身体を重く床へと叩きつけられる。

「君が見落としていた論理の穴を、埋めてあげようと思っただけ...

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