第6章

 結婚式の日、イーサンは朝早くに目を覚ました。鏡の前に立ち、ネクタイを結ぼうとするものの、指に何度も巻きつけるだけで一向にうまく形にならない。とうとう苛立ちとともにそれを引き剥がし、ベッドに放り投げた。ダークカラーのシャツに着替え、ノーネクタイで済ませる。

 スマートフォンが短く震えた。セリーナからのメッセージだ。位置情報が添付されており、誓いの言葉を一度合わせたいから、早めに会場へ来てほしいと書かれている。

 彼は数秒間画面を見つめ、短い返信を送った。

「分かった」

 家を出る際、ダイニングテーブルの横を通り過ぎた。そこには、リアが昨年の誕生日にくれたプレゼント——「世界一のお兄ち...

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