第10章

 1時間後、ルシエンは護衛の一人に命じ、虫の息の達彦を屋敷の端にある人目につかない薪小屋まで引きずらせた。与えられる食事は一日一度だけ。ぼろぼろの身体を、辛うじて生かす程度の量だった。

 水曜日になると、屋敷は突然ざわめきだした。高級車とメディアの車列が、門をひっきりなしに出入りしている。

 広々とした宴会場で、私は顔を上げ、目の前に立つルシエンを見つめて小さく告げた。

「……はい。喜んで」

 ルシエンは優しく私の左手を取り、薬指へと、眩いほどの赤いダイヤの指輪をゆっくり通した。

 舞台裏では、数千ものフラッシュが狂ったように瞬き、視界が白く焼ける。最高級の中継カメラが何百台も並び...

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