第4章

絵里視点

GPSに導かれてたどり着いたのは、鉄格子の嵌まった窓が並ぶ、だだっ広いレンガ造りの建物だった。精神病院。その名前だけでも気が滅入る。

私は美佳のホンダを訪問者用の駐車場に停めた。

(準備はいい?)頭の中で、美佳の不安そうな声が響く。

「いつでもいいわ。他人の体で、偽物の母親がいる狂った病院へお見舞いに行く準備なんて、とっくにできてる」

ロビーは消毒液の匂いがした。受付の女性は雑誌からほとんど顔も上げずに私の身分証を確認すると、エレベーターの方を顎でしゃくった。

「二百四十七号室です。面会時間は四時までですので」

部屋はすぐに見つかった。ドアの小窓から中を覗くと...

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