第6章
絵里視点
二時間後、隆がエンジンを吹かすと同時に、私のスマホが震えた。
非通知番号。だが、そのメッセージに血の気が引いた。
『お前の「大切なもの」を預かっている。工業通りの廃工場へ、一人で来い。さもなければ、今夜、奈央と絵里の命の保証はない』
「クソッ」私は隆に画面を見せた。「母さんが捕まった」
(いや、いや、そんな)美佳の声が頭の中でパニックに叫ぶ。(母さんには手を出さないって言ったのに!)
隆はタイヤを軋ませながら、急ハンドルを切った。「罠だ」
「当たり前でしょ、クソみたいな罠に決まってる」別のメッセージが届く。今度は写真が添付されていた。
廃倉庫らしき場所で椅子...
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