第4章

「星野浩史だ」夏海は書類の束をこちらに滑らせた。「星野テック社の社長。二十六歳、帝都大学卒。資産は八億」

ファイルを開くと、一枚の写真が目に飛び込んできた。金髪に碧眼、彫刻のように整った顔立ち。だが、その瞳には神経質そうな警戒の色が浮かんでいた。

「重度の強迫性障害よ」夏海はワインを一口啜った。「物の配置や順序に極端なこだわりがあるの。おまけに対人恐怖症で、投資家や社員ともまともに話せない。取締役会は彼の解任をちらつかせているわ。あなたが彼を更生させて、強迫性障害を克服し、普通の社交スキルを身につけさせるの」

「待ってくれ」私は資料を置いた。「具体的にどうやって彼に接触しろって言うん...

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