第010章

菅田友香を苛立たせたかったのか――それとも、別の理由があったのか。

藤原行船は、期待に目を輝かせる息子を一度見やると、なぜか口を滑らせるように言ってしまった。

「自分でおばちゃんに聞いてみればいいだろ」

藤原翔太は、その場でぴょんと跳ねた。

次の瞬間にはもう、待ちきれないと言わんばかりに父の腕を引っ張って外へ促す。

「パパ! じゃあ早くおばちゃんのとこ行こう! ぼく、今すぐ聞く!」

その光景を見た途端、菅田友香の胸はまっすぐ氷の底へ落ちたみたいに冷え切った。温度が、ひとかけらも残らない。

……いい。

五年以上積み重ねてきた母子の情も、今日で終わり。きれいに清算だ。

すると藤...

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